「……誉くん」 塞がれたまま小さくそう誉くんの名前を呼べば、視界を覆っていた大きな手のひらがそっと離れていった。 戻ってきた光が眩しくて、それを遮断するように目を細める。 「華恋」 狭くなった視界に映っているのは、まだほんの少し赤い誉くんの表情。 「お前に聞きたい事があるんだけど」 穏やかな表情にホッと息をついたのも束の間、誉くんから返ってきたその言葉にグッと歯を食いしばって身構える。 このタイミングで聞きたいことって一体なんなんだろう。 「お前、さ、響と付き合ってるんじゃねぇの?」