昨夜、あれだけ予行練習したはずなのに、 “どうしよう”という言葉だけが頭の中でグルグルとうず巻いて、肝心の言葉がいつまでたっても口から出てこない。 こうしている間にも誉くんは不思議そうな表情で私を見てるし。 心を決めるしか、ないのかな。 「あ、の……」 「ん?」 聞き取れないほど小さな声にちゃんと返事してくれる誉くん。 それだけで胸がきゅんと切なくうずいて、おさえていた想いがぶわっと一気にあふれ出していく。 「誉、くん」 「……華恋?」