「本当に散らかってるね」

菜々はケラケラ笑う。


「男の一人暮らしなんてこんなもんだろ?」

濱田はレジ袋から買ったつまみを取り出していた。

手伝うと立ち上がった菜々を制した。

「そっちの棚から好きなもん、出しといて?」

濱田が指差す先に木製のシェルフラックがあった。

そこには数種類の焼酎や日本酒が所狭しと並んでいた。

「うわぁお!」
菜々は思わず感嘆した。

「一人暮らし、舐めんなよ?」

キッチンからドヤ顔を覗かせる濱田に、菜々は思わず吹き出した。

「自慢にならないって」



コンビニで買ったつまみの他に、見るからに食が進んでしまいそうな、アスパラの肉巻きや鷄の焼き物が運ばれて来る。

「料理するんだ…」
思わず口を吐く。

「だから、一人暮らし舐めんなよって言ったろ?」


米の焼酎をグラスに注ぎながらやはりドヤ顔を見せる濱田。


あははっと、菜々は大笑いする。


なんだ、楽しいじゃない、さっきは家呑みを承諾した事を後悔したけど、そんな事は綺麗サッパリ消え去っていた。