紅く染まった日

『なによ、蒼生。いきなり呼び出したりして。』


律香がだるそうに言う。


『そんなこと言ってる場合じゃない！梨羽の命が危ない。』


『え、待て。梨羽って律香の妹じゃ？』

快斗が目を丸くして言った。


『え…………う…そ………嘘でしょ！？』


律香は大声で言った。


『嘘なんかじゃない。さっき電話があったんだ。律香の妹が乱桜に捕まって今拘束されてるって！』


梨羽の命が危ない……！


「梨羽は私の親友なんです！まだ生きてるならすぐ助けにいきます！どこなんですか？」


『だから今このメンバーで行くんだよ！早く！！』


蒼生は走り出した。私たちもそれに合わせて走り出す。


その頃


『おい、涙衣。どこにどこに行くんだ。』


『私にはなんだか嫌な予感がするんです。私も行ってきます！！』


『待て！！涙衣！！』


涙衣はドアを開けっ放しで部屋を飛び出した。


『涙衣の予感って当たるんだよね……』

耀子が気まずそうに言う。


『そんなこと言ってる場合か！こうなったら全員行くしかない！早く準備しろ！！』


弘毅は皆に大声で言った。


『なにこれ？』


耀子がイスのしたに落ちていた紙を拾う。


ｸｼｬｸｼｬに丸まっていた紙を広げた。


『なにしてるんだ！早く準備しろ！』


耀子はポケットに紙をしまった。


紙には



ﾐﾅﾐﾆｵﾏｴﾗﾉﾋﾄｼﾞﾁｱﾘ,ﾆｶﾞｼﾀｹﾚﾊﾞｵﾝﾅｦｻｼﾀﾞｽﾍﾞｼ.

『南に……お前ら…の………人質あり？逃がしたければ、女を？差し出す………べし。』




そう、これはもう予言されていたことだった。


しかしなぜそれが、あいつのイスのしたなんかに？


私たちが知らないところで、既に動き出していたんだ。