紅く染まった日

「私の母は、体力とパン作りが取り柄だと言ってました。幹部の話も少し聞いたんですけどあまり覚えてなくて……」


私は皆がお母さんのことを知っていると分かると、自分が知っているお母さんのことをできるだけ話そうと思った。


『なぁ、綺羅さんは今も元気なの?』


そう聞かれた瞬間、私は下を向いた。ああ、昨日のことがまた………


回想


『いいから目を覚まして!あなたぁ……………あぁぁぁぁあぁぁああっ…』


『私が最後にできるのはこれしかないんだ。今までほんとにありがとう。』


『いいから早く!』


『どうか梨羽と、私……お父さんの分まで生きて!』




私は目を瞑った。



『あ、聞かないほうがよかった……かな?ごめんね。』


『光里さん、今は話せないんー、ですよね。心の整理がついたらいつか話してくださいね。』


『……うん。』


涙衣が私に声をかけてくれた。


優しいな。


プルルルップルルルッ…


誰かの携帯がなった。

『すいません、1回抜けます。』


蒼生だった。蒼生は部屋から出ていった。


しかしドア越しに少しだけ声が聞こえてきた。


『……………おう。それで………うん、じゃあ梨羽は無事なのか?あぁ、いまどこにいる?』


梨羽!?梨羽は生きてたんだ!!

私はガタッと席を立った。すると同時に蒼生が戻ってきた。


『光里さん、あと快斗と律香。ちょっと来てくれ。』


私たちは蒼生のところへかけよった。

『すいません、急用ができました。すぐ戻ってくるので。』


私たちは蒼生と部屋から出ていった。