未熟女でも大人になっていいですか?

真実をバラされて立つ瀬の無くなった高島は、「もうそれくらいで勘弁して下さい」と頼み込んだ。


「あら、私はもっと聞きたいのに」


残念そうに呟いてみる。


「お前……それを言うなって!」


富沢さん達は高島の嘆く姿を笑い、あっという間に楽しい時間は終わりを告げた。




「また今度時間を作って会いに来ますから、どうか体だけは大切になさって下さい」


別れる間際、師匠の手を握りしめ高島は涙ぐんだ。


「ああ。俺はまだまだ丈夫だから心配はいらない。お前こそ浮気心を起こすなよ。藤さんはその辺の女とは別格なんだからな」


「はい。それは肝に銘じております」


神妙な顔つきで答える横顔を見ていた。

高島がスーツを着てきたかった訳を何となく肌で感じ取った。



「藤さん」


名前を呼ばれ富沢さんの方へ視線を向けた。

日に焼けた肌をした人は嬉しそうな微笑みを浮かべている。



「こんな頼りない男だけどよろしくお願いします。ワシの知る限り、心根だけは優しい野郎だと思うから」


「棟梁……」


泣き声のように響く高島の言葉を耳にした。

私にとっては何よりも頼り甲斐のある人の存在が、これまで以上に近く感じられた。


「今度会いに来る時は子供の1人くらい連れて来いよ。男女の絆は深い方がいい。お前も藤さんも、人の子として生まれて親の絆を深めてきたんだから」