未熟女でも大人になっていいですか?

「でも、興味ねぇし」


「だったら建築家だな。計算速けりゃ図面書くのにも都合いい」


「建築家?」


視野にも入れてなかったらしく、田所さんの言葉が詰まった。


「あのな、棟梁はお前の面倒をただ見てるだけじゃねぇんだぞ。お前が社会人として一人前になるまでの間、家族や友人の代わりを務めてやっていろんな技能を身につけさせるのが目的なんだ」


「おいおい、ワシはそんな大それたことなんぞ考えてはおらん」


謙遜する富沢さんを一瞥して高島は言葉を続ける。

その言葉の端々には、かつて師匠の元で働いてきた自分の経験が織り込まれているように感じた。


「お前自身の人生を左右するのは今後の生き方にあると思う。これまでの事で反省するべき点が有るならしっかりと反省し、尚のこと真剣に生き直さないとダメだ。『自分を生かすも殺すも自分次第』、俺も棟梁から散々言われ続けた」


「生かすも殺すも自分次第……」


言い重ねるよように呟く。

その田所さんに向かって高島はこんなふうに付け加えた。


「お前は先ずその風貌を何とかしろ。そんな髪の毛のままじゃ世間の人からは信用されねぇ。生きた金を稼ぐつもりがあるのならそれなりに世間の目も気にしないと」


「…言うようになったなぁ……」


面白そうに富沢さんが呟く。

その声を耳にしながら、私までもが笑えてしまった。



「彼女笑ってるっすよ」


田所さんに突っ込まれ、高島の顔が引きつった。