未熟女でも大人になっていいですか?

いきなり紹介された。



「は、初めまして」


言うべき言葉が見つからず、挨拶のみになってしまった。


「富沢 剛(とみざわ ごう)という年寄りです。その男の親代わりをしてました」


(親代わり…)


富沢さんは帽子を脱いで頭を下げた。

髪の毛の薄い頭頂部を見つめ、自分も慌ててお辞儀を返す。



「お前にしては随分上等な女性を選んだな」


呆れているのか喜んでいるのか分からない言葉を発し、富沢さんはまたしても笑う。


「名前通りのいい女を選んだまでですよ」


高島は怒るでもなく受け止める。

名前通り…と言われた私は弱りつつも2人の様子を見入った。



「此処にはもう随分長く居るんですか?」


社殿を見上げながら高島が問った。


「かれこれ半年以上は居るかな。今の所急ぎの仕事もないし、もう暫くこの解体にも時間がかかりそうだしなぁ」


「デカい社殿ですからね」


男2人の会話は地味だけど楽しそうだ。

そう言えば、私は高島が仕事をしている姿をこの最近見かけたことがない。

お互い別々の場所で仕事をしている。だから当然なのだけれど。




「今も誰かを保護してるんですか?」


その言葉に気づいて顔を見上げた。

富沢さんは表情を綻ばせ、「ああ、1人だけ」と笑う。


『保護』という言葉が耳に付いた。

高島の顔を見つめ、(この人もかつて保護されていたのか…)と考えた。