未熟女でも大人になっていいですか?

「葛西(かさい)」


立石君の声が暗い。


その指差された生徒の名前を私は忘れたことがない。



葛西 潤(かさい じゅん)

あの日、私を襲ってきた子だーー。



「葛西君ってさー、急に転校しちゃったんだよねー。お父さんの仕事の都合とかでぇ」


上谷さんの話を聞いて、高島の視線がこっちを向く。

血の気の引きそうな顔をしている私を見つめ、3人の方へ目線を戻した。



「その葛西ってのはどんなヤツだったんだ?」


質問に対して3人が記憶を辿る。


どうして今そんなことを聞きたがるのだろう。

何も聞かずにそっとしておいて欲しいのに。



「真面目でいい奴でしたよ」


「クラスの代表も務めてて皆に慕われてたよね」


「でも、俺にはいつも先生のことを目で追っかけてるようにも見えたけど…」


ちらっと伺う琴吹君の視線が怖い。

まるで何かを知っている様な目つきにビクッと身構えた。



「……ふぅん。カツラはそんなに人気のある先生だったのか…」


「教師たちの中で一番若かったしね」


「違うだろ。優しくて話し易かったから」


「冗談とかにもよくノッてくれたし、面白い先生だったのよー」


上谷さんの言葉に頷いている。

そのまま、もう何も掘り起こさないで欲しい。