「どうかしましたか?」
バンビの彼が尋ねる。
「あ……いえ、何も」
困った表情を見せてはいけない。
この人は今度、また別の女性と此処へ来るんだ。
「…あの、じゃ私はこれで……」
自分の分を支払うつもりでお財布を取り出した。
「あ…お代なら要りません。そもそも僕の不手際で此処まで来られたんだから」
何処までもスマートな紳士ぶりを発揮する。
バンビだと思ってたのは間違いで、まるで王子様か何かのようだ。
「でも、貴方の分も頂いたし」
負けじとやはり言い返した。
「あれは僕が食べきれない分を貴女に食べて貰っただけです。それに恩を感じられては、今度はこちらが恐縮します」
照れ臭そうな顔をして見つめる。
その表情をぽぉっとしたまま眺め、何も言えずに押し黙った。
「ミツさん?どうしました?」
名前を呼ばれてハッとする。
まさかバンビに名前で呼ばれるとは想像もしておらず、オタオタと慌ててしまった。
「べ、別にどうも致しません!」
強い口調で言い返して手に力を込める。
さっきから続いてるこの鼓動は何?
どうして、こんなに胸がザワザワするの?
自分ではない同姓同名の別の女性を待ってた男に興味なんてないつもりでいたのに、どうもさっきから私はおかしい。
もう少しこの人と話がしたい。
このまま此処に座っておきたいーーー。
バンビの彼が尋ねる。
「あ……いえ、何も」
困った表情を見せてはいけない。
この人は今度、また別の女性と此処へ来るんだ。
「…あの、じゃ私はこれで……」
自分の分を支払うつもりでお財布を取り出した。
「あ…お代なら要りません。そもそも僕の不手際で此処まで来られたんだから」
何処までもスマートな紳士ぶりを発揮する。
バンビだと思ってたのは間違いで、まるで王子様か何かのようだ。
「でも、貴方の分も頂いたし」
負けじとやはり言い返した。
「あれは僕が食べきれない分を貴女に食べて貰っただけです。それに恩を感じられては、今度はこちらが恐縮します」
照れ臭そうな顔をして見つめる。
その表情をぽぉっとしたまま眺め、何も言えずに押し黙った。
「ミツさん?どうしました?」
名前を呼ばれてハッとする。
まさかバンビに名前で呼ばれるとは想像もしておらず、オタオタと慌ててしまった。
「べ、別にどうも致しません!」
強い口調で言い返して手に力を込める。
さっきから続いてるこの鼓動は何?
どうして、こんなに胸がザワザワするの?
自分ではない同姓同名の別の女性を待ってた男に興味なんてないつもりでいたのに、どうもさっきから私はおかしい。
もう少しこの人と話がしたい。
このまま此処に座っておきたいーーー。

