未熟女でも大人になっていいですか?

予期せぬ行動を取られて動揺した。

スーツ姿の左官工は、寛いだ表情を浮かべてコーヒーを飲み込む。


その姿までが様になってる。

あまり視界に入れないよう意識して、ケーキだけを見つめて食べきった。




「…美味しかったー」


子供のように声を漏らすと笑われた。

バンビだと思ってた男に笑われて、恥ずかしさがまでが余計に加わる。

それを誤魔化すように飲み込んだ紅茶は酸っぱすぎて、思わず咳まで出てしまった。



「ゲホン!ゴホッ!」


酸味が喉元まで駆け上がってくる。

ぐっと締まるような感覚に襲われ、痛くて仕様がなくなる。

急いでバッグの中からハンカチを取り出そうとして俯くと、目の前に見たこともないブルーのハンカチが現れた。



「大丈夫ですか?」


声の主を仰いだ。

バンビな彼が心配そうな眼をしてこっちを見てる。

ドキン…と大きな鼓動を感じて直ぐに目線を逸らした。



「だ、大丈夫です……」


そうは言い難い雰囲気だったけどそう答えた。

差し向けられたハンカチを借りて、何度か咳き込みを続けているうちに酸味は奥へ下がっていった。




「……すみません、ハンカチお借りして……」


唾液の付いたものを返す訳にもいかないから謝った。


「いいですよ。それ差し上げますから」


スマートな対応を見せられて余計に気まずい。


「あの……」


声に出しかけて我に戻る。