未熟女でも大人になっていいですか?

「……ご馳走になります」


思いきり情けない気持ちを押し殺した。

『ヤマガタ ミツ』は満足そうな笑みを浮かべ、「じゃあ行きましょ」と歩きだした。


美人で身長高めな女が歩く姿は様になっている。

カツカツ…と高いヒールの音を立て、まるでペンギンか何かのようだ。



「意外と歩くのが速いんですね」


大股でついていかないと置いていかれそうな気がする。


「そう?これくらい普通でしょ?」


(いや、絶対に普通より速いって!)


またしても言葉を呑み込んで、パーラーの玄関口をくぐった。



「いらっしゃいませ、お二人様ですか?」


黒いワンピースに真っ白なエプロンを付け加えたウエイトレスに出迎えられる。


「そうよ」


入り慣れているのか『ヤマガタ ミツ』は直ぐに答えて要望を伝えた。



「窓際の席へ案内して」


お嬢様かよ…と呆れる。

けれどウエイトレスは平然とそれを受け止めた。


「此方へどうぞ」


二枚のメニューを手に持ち先導する。

その後ろをペンギンのような女が歩き、自分は付き人のように追いかけた。



「ご注文がお決まりになりましたらベルでお知らせ下さい」


小さい銀色のハンドベルをポケットから取り出しテーブルの上に置く。

颯爽と立ち去る背中を目で追った後、手渡されたメニューを開いた。