「へぇー、やっぱりそんな関係になったんだー!」


予想通りね!…と喜ばれた。


「おめでとう!式はいつ挙げるの?」


「えっ?式?」


そんなの考えてもいない。

だって、昨日の今日だもん。


「まだ何も考えてもないよ。これ貰ったの昨夜だし…」


誕生日プレゼントとしては高価だな…と思った。

高島が指輪を用意したというのも不似合いな感じがして、思わず貰っていいのかと聞いてしまった。


「なぁんだ、そうなの!?でも、いずれはするんでしょ?」


「うっ……それは何とも言い難いけれど……」



何もかもがこれから。

ついでに言うなら最初から躓いている。



「式挙げるなら呼んでよ!期待してるから!」


ツンツン…と肘で突かれた。

私が困っているとも知らず、音無さんは自分の机へ行ってしまった。




(式か……)


昨日の今日でそんな言葉が聞かれるとは思わなかった。

確かに私も高島もいい加減年だけは取っている。

本来ならきちんとした形を通して、親戚や友人達を招待するべきなんだろうけれど。


(私はまだ望さんの家族にも会ったことないし…)


自分の両親は、既にこの世の人ではなくなっている。

その事を含めて、伝えなければならないことは多い。


(困ったな。考えてみたら全部が後回しな感じ)


既に一緒に暮らしているのに、相手の親には会ってもいない。