カツ、カツ、と、歩く度靴が音を鳴らす。
けれど、その音は自分のもの以外聞こえてこない。
意図して鳴らしていないのか、鳴らないのか。
私にはわからないけれど、後ろと隣を歩く2人からは足音がしなかった。
そんな2人に違和感を感じつつも歩き進める。
ふと隣を見た時、鏡が視界に入ってきた。
そこに映るものを見た途端、私は無意識に目をそらした。
「ん?…どうしたの?」
それに気が付いた桃色の男性が足を止める。
……鏡に写る、朱い瞳。
真っ黒な髪の奥に隠された私の瞳が、何かを責め立てるように朱く輝いていた。
まるで、血のように。
「………いえ……」
何でもない顔を装い、青年2人を見上げる。
隣には桃色の髪に、紫色の瞳。
輝くばかりのその色が、少しだけ羨ましいと思う。
視線をずらせば、白い長髪。
その前髪に隠された瞳は、綺麗な紅色だった。
同じ、あかいろなのに。
彼の瞳に毒々しさはなく、宝石のようなものがそこに埋め込まれていた。
「………?」
桃色の人に顔を覗き込まれ、我に返る。
「…なんでもないです……えっと…」
「そう?……あ、そういえば、まだ自己紹介してなかったね」
ふわりと微笑んだ彼は、私が名前を呼ぼうとしたのを感じ取ったらしい。
「僕はセイト。よろしくね。で、この白いのがリッカ」
「よろしくお願いします」
優しい微笑みを浮かべる白い男性は、ゆっくりと私に手を差し出した。
「…ミズキです。…こちらこそ」
名乗ってから手を握ると、リッカといった男性は。
静かに上半身を折り、私の手に口付けた。
「…っ?」
突然のことに慌てていると、何も無かったようにリッカさんは私の手を離し微笑んだ。
「リッカだけずるーい」
唇を尖らせたセイトくんは、何故か私の手を取って歩き出した。
その拗ねたような行動が可愛らしくて、少し笑ってしまった。