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扉が開き、青年が姿を現す。



真っ白な衣装に身を包み、白っぽい灰色の髪を背中まで伸ばした青年は、ふわりと優しそうに微笑んだ。




「なにかおこまりでしょうか?」




「……えっと、あの……私」




戸惑いつつも青年に顔を向け、言葉を紡ぐ。






「……道に迷ってしまいまして。…一晩だけでもいいので…、今夜泊めていただけませんか?」





さすがに記憶のことは言うのがためらわれた。




「おや…そうですか、そういうことなら…」



「一晩と言わずずっといてもいーよ!」





突然、青年の後からもう一人の青年が顔を覗かせた。





桃色の髪をふわふわと揺らした、可愛らしい微笑みを浮かべた青年だった。




「……あ、の」




「……まぁ、どうぞお入りください。私と彼含め、この屋敷の住人を紹介しますので」





そう言われて、歩き出すと、桃色の青年が隣に並んだ。







そちらに目を向けると、彼はにこにこと笑ったまま、前を向いて歩いていた。





なぜそんなにニコニコしているのかと思ってみていると、彼がその視線に気づいたのか、こちらを見た。





「あ、…えっとね、…そのー、そう!僕達、こんな森の中に住んでるでしょ?だからあんまりお客さんがこなくて…それで、嬉しくてね…」





もごもごとしていたものの、そういった彼の言葉に、私は納得した。







そんな2人の様子を、後から白い青年が微笑ましく見ていた。







そしてそのとき、彼らの後ろ、森のずっと奥で、フクロウが飛び立った。