リッカに案内された部屋は、広くてとても快適だった。
中央にはアンティーク調のイスとテーブル。
部屋の奥にキングサイズのベッド。
右には沢山本が収納された大きな本棚。
本棚の隣にはこれまた大きなソファが鎮座していた。
こんな立派な部屋じゃなくていいと言ったら、客なのだからおもてなしさせてくださいとリッカにやんわりと押された。
あてがわれた部屋に一人になると、私はベッドにのそのそと近づいて、倒れ込んだ。
歩きに歩いた足はもうボロボロ。
森をわけも分からず放浪し、たどり着いたこの屋敷。
この屋敷もなかなかに広いため、足はもう棒のよう。
ふぅ、と溜息をつきつつ、足をマッサージ。
そうしながらふと考える。
明日からどうしようか。
とりあえず、彼らに近くに街がないか聞こう。
もし近くにあるのなら、そこから来たと考えるのが普通だし、私の身元も分かるかもしれない。
ぐーっと伸びをして横になる。
「……………見つからなかったらどうしよう」
何もわからなかったら。
それこそ困りものだが、……あぁもう、なんだか頭が回らない。
すると次第に眠気が襲ってきて、瞼を開けていられなくなった。
いいや。
明日のことは明日考えて、何もわからなかったら、その時考える。
ふぁ、と一つ欠伸をして、寝返りを打つ。
すると、私の意識は簡単に夢へ持ってかれてしまった。
外では嵐が吹き荒れ、ガタガタと窓を揺らしていた。
窓の奥には暗い闇。
その窓からフクロウが覗いていることは、誰も知らないことであった。