さよならを告げるまで




 誰かを守るための武器。私の力もそう使えたらいい。けれどまだ、私はまだまだだ。もっと頑張らなくては。



「あまり気を使うな」

「え?」



 私の歩幅に合わせてフェルゼンはいう。



「俺の邸に世話になっているとか、役に立とうとか、そんなのはいい。俺は負担だとも面倒だとも思っていない。それはウジェニーらもだ」

「…でも」

「もっと気楽でいい。気ままにな。何だったら裸足で庭を走ろうが寝転がろうがしてもいい」

「どっちもやりません」

「俺はやったが」

「えっ」

「まあ、男と女は違うだろうが、気負わずにやればいい。邸だって、追い出すような真似はしない。自由にやれ」



 自由に、か。

 私よりもカシェルのほうが自由にやってるんだがなぁ、というようにもらせば「確かにな」と。「前に、俺のベッドで寝てたことがあるし」と。
 仲良しなのは羨ましいことだ。フェルゼンはなんとも言えない顔をしながらも、頷く。
 

「フェルゼンさん」

「なんだ?腹へったか」

「減ってません――じゃなくて。また、つれてきて貰ってもいいですか」



 少しずつにしよう。少しずつ、慣れよう。まだ私は弱い。だから。



「ああ。また」



 フェルゼンはそういうと、柔らかく微笑んだ。
 その顔にどきりとしたのは、秘密だ。