「ほら、着いたぞ。」







あの後、学校を出て近くに停めてあった赤松千尋のバイクの後ろに乗せられ30分近く。

バイクから降りた彼はその一言だけを言って、私がバイクから降りるのを待っている。

私は何も説明は無いのか、と不服に思いながらもバイクから降りる。

辺りを見渡せば海が広がっている。

こんな所に、須藤君が…?







「何で此処に須藤君が…?」

「彼方のバァちゃん家が近くにあんだよ。」







そうなんだ…と感心をしていると、さっさと行けよ、と睨まれながら赤松千尋は言う。

いや、ちょっと待て、さっさと行けって何処に⁉︎

と彼に文句を言おうとするが彼はもうすでに再びバイクに跨っていてエンジンをかけている。

いや、待て待て待てい!







「ちょ、ちょっと!須藤君は⁉︎」

「あ゛?自分で探せよ。」

「はぁ?じゃぁせめてお婆ちゃんの家だけでも案内しなさいよ!」

「うっせーな、自分で探せ。」








はぁん?何言ってんの、このチンピラ!

都会から少し離れたとはいえ、住宅は沢山並んでるし、見つかるわけないじゃん!

こいつ…教えるって言ったのに、教える気更々ないじゃん…!

そう思いながら顔を引きつらせながら睨んでいると、







「不細工な顔で睨んでんじゃねーよ。じゃぁな。」







そう言ってバイクをふかして行ってしまった赤松千尋。

むかつく、本当にむかつく。

て言うか、もしこれで今日中に須藤君見つからなかったら私どうやって帰るの?

…やばい、嫌な想像しか浮かんでこない。

早く須藤君を見つけなきゃ!

そう思い、行く当てもなくその場から歩き始める。