「お前さ、俺が言った事忘れたのか?」

「…一生会うなって話?」

「覚えてんだったら2度も言わすなよ。」






今にも殴りかかって来そうな勢いで睨みながら言う。

怖い…でも、ここで引き下がるわけにはいかないんだ。








「彼方に付き纏うな。ストーカーかよ。」

「スっ⁉︎違うから!」

「じゃぁ何だ?振られたくせに、会いたいだなんて気持ちわりぃだろ。」

「そう…思われててもいい。でも、もう1度だけでいいから話がしたい!」

「何で彼方なんだよ。他の男見つけろ。」

「須藤君が好きだから!他の人じゃダメなの!」







私は須藤君の家で、半端な気持ちじゃないと宣言した時と同様、大きな声で彼を真っ直ぐに見て言う。

私の言葉を聞いて赤松千尋は舌打ちをした後、大きなため息をついた。

と思ったら拳を振り上げる。

殴られる…!何でこの人はこんなにも話が通じないんだ!

私は歯を食いしばり目をグッと閉じて、痛みを覚悟する。




--ー パシッ




乾いた音がしただけでいつまでたっても私の頬には痛みがこない。

ゆっくりと恐る恐る目を開けてみると、私の目の前の人物は振り下ろされた赤松千尋の拳を受け止めていた。