「いいから、大人しく寝て。」

「…うん、分かった。」







そう言って須藤君は瞳を閉じ、暫くすると小さな寝息が聞こえてくる。

手、握られたままだから動けないや…。

そう思い部屋をキョロキョロ見渡す。

よくよく冷静に考えてみれば私、男の人の部屋にズカズカと入り込んでんじゃん…!

彼女として…女として、どうなのよ…。

そう思いながら須藤君を見てみれば、やはりしんどそうで、少し顔が汗ばんでいる。

こんな時にもマスクしてるとか…どんだけマスク好きなのよ…

絶対外した方が楽だよね…。

そう思い、私はマスクを外そうと触れようとした時、パシッと私の手は掴まれる。

掴んだのは寝ていると思った須藤君張本人で。






「何。」

「え?いやマスク外した方が楽になるんじゃないかと思って…」

「大丈夫だから。」






少し冷たく言われた私は、そう…としか返事が出来なかった。

そして彼は握っていた手と掴んだ手を両方離し、私に背を向けるように寝返りをうった。

…もしかして、怒った?マスクを外そうとしたから?

前の私なら確かにこれをシャッターチャンスだと思って外そうとしただろうが、今は違う。

彼の事を、彼のためを思ってしようと思った事なのに…。