顔をパタパタと自分の手で扇ぐ。


無理。

誰とも付き合ったことのない私には、あんな近い距離は厳しい。



恥ずかしすぎておかしくなりそう。




「もう、無理……」


「え?ちょっ……!」



突然正面から入谷くんに抱きしめられる。


何なんだよ、本当にっ!



どうせまたからかってるんでしょ!


そう思って、入谷くんを引きはがそうとするけど、より強い力で抱きしめてくる。





「伊都ちゃん、まじでかわいすぎ。
俺、本気だから。
言ったよね?本当に伊都ちゃんの気持ちが欲しい」


「な、に言ってんの」



そんなの信じられるわけがない。

入谷くんはチャラくて、マイペースで本当の気持ちなんて分からないのに。