だから、俺にしとけよ。




それでもビクともしない。

入谷くんの顔が近づいてきて、反射で目を閉じる。




「……ふっ」



だけど、鼻で笑う声が聞こえてゆっくり目を開くと、入谷くんは私からもう離れていた。




「かわいっ」



その言葉で顔がカァーッと熱くなる。



「か、からかったの!?」


「伊都ちゃんからかうの好き」



最悪だよもう……。

心臓破裂するかと思った。




「ドキドキした?」


「うん……あ!してない!何もなってません!!」



思わず素直に頷いてしまった。


あんなのドキドキしない方がおかしいよっ。