その男子は後ろ姿だけど、生まれた時から一緒だから分かる。
京ちゃんだ。
「後輩に目をつけるの早くないですか?」
「いいの。
京介くん慣れてるみたいだし、ね?」
そう言うと、2人の影が重なる。
私はそこから動けなくなった。
女の先輩の甘い声がここまで届く。
京ちゃんのキスシーンを見るのはこれで何回目だろう……。
今まで何十回と目撃したはずなのに、私の胸はズキッと痛む。
見たくないのに2人から目が離せない。
京ちゃんは中学2年生の夏休みくらいから、女の子で遊ぶようになった。
特定の子は作らずにとっかえひっかえ。
毎日違う女の子を家に連れ込んでいるのを、自分の部屋から見ていた。



