だから、俺にしとけよ。




移動教室のため廊下を歩いていると、前から来た人物に頭を軽く叩かれる。



「京ちゃん!」


「次何?」


「化学だよ」


「伊都が苦手なやつじゃん」



そうやって笑う京ちゃんを見つめる。

クラスが端と端だから、廊下で会うこともなかなかない。


嬉しくて頬が緩む。



「伊都、先に行ってるね」


「あ、うん」



歩美ちゃんは気を遣ってか、私を置いて1人で行ってしまう。

私の背中を肘でチョンと突いてから。


学校で話せる時なんてあまりないし、すごく新鮮だ。


歩美ちゃんありがとう!




「また勉強教えてね」


「えー、伊都は覚えが悪いから疲れるんだよな」