不思議に思いながらそこの角を曲がろうとしたけど、足が止まってしまった。
「待ってたよ」
「ごめん」
「ううん、別にいい」
私の知らない女の子と向きあう京ちゃん。
サボりだけど、肝試しが嫌だからじゃなくて女のこと会う約束をしていたからなんだ。
仲よさげに話す京ちゃんは、私の知っている京ちゃんじゃない。
幼なじみの京ちゃんじゃなく、完全に男の子の京ちゃんだ。
「ほら、早く。持田くんと遊べるの、すっごく楽しみにしてたんだから」
「そう」
「予約いっぱいだからね」
女の子はそう言って、京ちゃんの頬を両手で挟む。
ここからの2人がどうなるかなんて容易に想像がつく。
……また。
私はいつもタイミングが悪い。
予約ってことは、京ちゃんは今までもこれからも誰かの京ちゃんになってるんだ。



