「ほら、ここ。計算間違えてる。だから解けないんだよ」
「え?」
指でトントンと私の今解いてる数学の途中式を示す。
確かにそこで引き算を間違えている。
だからすごい数字が出てきちゃったんだ。
そこから計算をし直す。
「解けた!」
「そうそう。次はここ。これは最初に傾きを出すの。その後重なる部分を……」
入谷くんはなぜか急に教えてくれ始めた。
すごく分かりやすくて、なかなか解けなかったはずが、ポンポン解けていく。
「終わった!終わったよ!」
「はい。よくできました」
入谷くんはニコッと笑うと、私の頭をポンポンしてくれる。
解けた嬉しさで、私はその手に頭をぐりぐりとする。



