少し汗が混じった京ちゃんの匂いは昔から何も変わってない、やっぱり大好きなもので。
「何で来てくれたの?」
「俺が伊都のピンチに気づかないわけないだろ」
「京ちゃんはやっぱりヒーローだ」
かっこいい私だけのヒーロー。
重たいはずなのに、そんな素振りは全く見せない。
歩きにくい道も慎重に私に負担をかけないように歩いてくれる。
京ちゃんには悪いけど、このまま頂上なんてつかなければいいのに。
ずっとこの背中にひっついていたい……。
だけど、私の願いも虚しく頂上に着いてしまう。
ゆっくりと下ろしてくれる京ちゃん。
大好きな背中と離れてしまう。
「じゃあ、俺は自分のクラスのとこ戻るから。ちゃんと治療してもらえよ」
「うん」