「おい、何だよ」
入谷くんの声を無視して、京ちゃんは私に背を向けてしゃがむ。
不思議に思ってると、顔だけこっちを見る。
「乗って。その足じゃ歩けないでしょ」
「え、でも……」
「あとちょっとだし、伊都乗せて行くくらいなんてことないから」
ドキッ。
京ちゃんは本当にズルイなぁ。
京ちゃんはなんてことないのかもしれないけど、私にとっては大問題だよ。
こんなのドキドキしない方がおかしい。
歩美ちゃんが私のリュックを持ってくれる。
そして優しく微笑んだ。
「さっきので捻挫したんだね。ここは甘えときな」
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