「へぇ~。
俺って変な虫ってことになるんだ。
俺からしたら、いつも伊都ちゃんといるただの幼なじみの方が邪魔なんだけどな」
「ちょっと入谷くん!
京ちゃんのこと悪く言わないでって言ったじゃん!」
「はいはい、ごめんね。
じゃ、帰るわ。伊都ちゃんまたね」
私に手を振ってから、横を通り過ぎて出て行った。
そんな入谷くんの背中を見つめて、ホッとする。
やっと一難去ったって感じ。
小さく息を吐くと、京ちゃんが私を覗き込む。
「帰ろっか」
「うん」
それから教室に荷物を取りに行って、京ちゃんと一緒に学校を出る。
京ちゃんと帰るのは高校生になって初めてかも。
登校は一緒だけど、帰りはいつも京ちゃんは誰かに捕まってるから。
一緒に帰れて嬉しいな。
京ちゃんの隣でニヤけを抑えることができない。



