本当はただ京ちゃんの方がいいからなんだけどね。
京ちゃんから誘ってくれるなんて思ってなかったし。
もうとっくに帰ってると思ってたから、すっごく嬉しい。
自分でも顔がニヤけるのが分かる。
「気持ちだけありがと」
「さっきと態度変わりすぎ」
「入谷くんの最低な行為も水に流してあげるね」
今の私はすごく機嫌が良い。
入谷くんの横を通り過ぎて、京ちゃんの目の前まで行く。
「京ちゃん帰ろっ」
声をかけるも、京ちゃんは私を見てくれない。
目が合わないことに不思議に思い、京ちゃんの視線の先をたどる。
そこは入谷くんで、真っ直ぐに入谷くんを見ていた。
入谷くんも京ちゃんをじっと見ている。
え、ずるい。
私も京ちゃんと見つめ合いたいのに。



