伊都からは甘い匂いがする。


ケーキを焼いていたからかな?



「あー、もう伊都を食べちゃいたい」


耳元で囁きふっと息を吹きかける。




「ばか!
早く入って。冷えてるじゃん」



肩を押されて体を離すと、俺の手をとり家の中に入れてくれる。


だけど、気づいてるから。

髪に隠れててもさ。




「耳赤いよ。
照れてるんだね?」


俺の言葉にバッと振り返った伊都は、頬も赤くてりんごみたい。

やばいって。



大丈夫かって不安になってたけど、やっぱり大丈夫じゃないわ。



我慢できなくて、ちゅっと軽く口づける。



「なっ!」


「お邪魔します」



驚いた表情をする伊都の横を通り、リビングに勝手に入る。