「どこ行くの?」
「京ちゃんのとこ」
「何で!?」
「殴らないと気がすまない。
突然好きとか言ったと思えば、伊都ちゃんを泣かせるなんて。
何のために俺が……」
「やめて!
京ちゃんは悪くないから、殴っちゃダメ!」
今にも飛び出して行きそうな入谷くんを止める。
入谷くんは不満そうに私を見る。
「行かせてよ。
何のために俺が背中押してあげたと思ってるの?」
「ちがっ……」
「伊都ちゃんを泣かせるなんて許せない。
今回は直接的だからね」
「ち……」
「もう泣かなくていいから」
「ちっがーう!」
私の話を聞かない入谷くんに、大きな声で否定する。



