「次移動だから遅れちゃう」
私は授業の準備をして席を立つ。
そして入谷くんを思いっきり睨む。
「さようなら!」
「いや、俺も移動で同じだからね?」
「歩美ちゃん、行くよ!」
「はいはい」
歩美ちゃんと一緒に教室を出て、次の授業を受けるために廊下を歩く。
と、急に我慢ができなくなったかのように吹き出す声が聞こえて、横を見る。
不思議に思い首を傾げて、歩美ちゃんを見る。
「ごめんごめん、おもしろくってつい」
何がおもしろいのか分からず、歩美ちゃんをじっと見つめる。
「伊都があんなに言い返したりするなんてね。
心開いてるのかなって」