えっと、何だっけ? ドーナツって言ったよね? 「ドーナツがいい!」 「……いや、もう帰ろう」 「え、でも」 京ちゃんは自然に繋いでいた手を引っ張り家の方へ向かう。 やってしまった。 何でこんなに上の空になってるんだろう。 家の前に着き、京ちゃんが手を離す。 「様子おかしいし、疲れてるのかもな。 ゆっくり休めよ」 「京ちゃ……」 「あーもう」 京ちゃんはちょっと怒ったようにそう言って、私を抱きしめる。 ぎゅっと強い力で。