「あ、あの。
昨日はありがとう!
まだ、お礼言えてなかったから」
「いえいえ。
別に気にしなくて良かったのに」
「でも、ちゃんと言いたかったから」
「そっか。
じゃあ早く移動行かないとね」
私に背を向けて歩き出す。
え、何で?
そんなにあっさり行っちゃうの?
いつものようにお礼は、とか冗談言わないの?
もうそんなふざけることさえできないの?
「入谷くん!」
思わず入谷くんの腕を掴んでしまう。
立ち止まって顔だけこちらに向けると、ふっと柔らかい笑顔を向ける。
それは昨日の切なげな表情と重なった。
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