ヘラヘラ笑っている入谷くん。 昨日の切なげな表情の面影すらない。 「お、おはよう」 なんとか挨拶を返すと、入谷くんは「じゃ」と手を軽く振ってから早々と歩いて行ってしまった。 その後ろ姿を眺める。 いつも通りだと思ったその背中が、寂しげに見えるのは気のせいなのかな。 「伊都?」 「あ、何?」 「ボーっとしてどうかしたのか?」 「ううん、何か忘れ物しちゃってる気がして」 「相変わらずだな」 「そんなことありませーん」 私を笑う京ちゃんに軽く言い返す。 京ちゃんが笑ってくれると私も嬉しい。