いつのまにか、そこにいたんだ。
背中に回した手にぎゅっと力を込める。
「いり……」
「……前にも言わなかったか?」
そこにタイミング悪く低い声が聞こえる。
よく知っている声で、デジャヴ。
もう誰かなんてすぐに分かった。
「伊都に気安く触んなよ」
その声と同時にさっきまでの優しい温もりは消える。
代わりに別の人、京ちゃんが私の肩に手を回す。
そのまま、支えられるように立ち上がらせられる。
「京ちゃん、違うよ。
入谷くんは私のこと助けてくれたんだよ」
「は?」
「ひろちゃんといろいろあったところを、入谷くんが止めてくれたの」



