「腰抜けてるの?」 「う、うん……」 入谷くんは笑いながら私の元に来る。 そしてしゃがんで、私を包み込むように抱きしめてくれる。 「怖かったね」 背中をさすってくれる入谷くんに、また涙が溢れてくる。 いつも私が泣いてる時に現れるんだから。 そして慰めてくれる。 怖かった。 怖かったけど、すごく安心したんだ。 「入谷くん」 背中にそっと手を回す。 いつからだろう。 私はこの温もりが大好きになっていた。 気がついたら入谷くんは簡単に私の心の中に入り込んでいた。