「入谷くんには関わりたくない」
「伊都ちゃん見かけによらずひどいね。
もっと優しい子かと思ってた」
「好きじゃない相手にファーストキス奪われて、優しくできるわけないでしょ!
私にだって理想はあったのに……」
やっとの思いで京ちゃんと両想いになる。
そしてちゃんとお互い気持ちを確かめあって、初デートの帰りに名残惜しくなってる時に不意打ちで……とかいろいろ。
それなのに理想からはかけ離れすぎててもう……。
「やった、伊都ちゃんの初キスもらっちゃった。
まぁこれが現実だよ」
相変わらずニコニコしている入谷くんを見てため息が漏れる。
この人に何を言っても無駄だと感じた。
私とは感性が違いすぎる。
だから私の意見を言ったところで、同意してもらえるわけもない。
入谷くんに背を向ける。
無視が1番だよ。



