実は周りのことをよく見ていて、合わせることができる。 そんなすごい人。 「送ってくれてありがとう」 家の前でお礼を言う。 おかげで暗かったけど、あまり怖くなかった。 入谷くんがたまにおかしなことを言って笑わせてくれたから、余計に怖さは吹き飛んでいた。 「気をつけて帰ってね」 「うん。その前に大事な話、いい?」 声のトーンが低くなる。 入谷くんが真剣な時の声。 「……うん」 何言われるんだろう? 心臓がドクドクと嫌に脈を打ち始める。