「ありがとう、またお礼するね」 「お礼はちゅ」 「入谷くんの好きなガトーショコラでも作ってあげる!」 「はは、ありがと」 入谷くんの言葉を遮る。 もう分かってきたもん。 次にどんなことを言ってくるのかって。 「暗いね。これは危ない」 「入谷くんの方が危ない人だけど」 「何?オオカミってこと?ガオー」 「変なのー」 他愛ない話をしながら私の家までの道を歩く。 私の歩くペースに合わせてくれるのはもう知っている。 そういうのを自然にやってしまうような人。