「ねぇ、何で抵抗しないの?」


「……」


「伊都は今、何を考えてる?」


「……」


「こんなことされたら、俺、期待するけど?」


「……」




入谷くんの質問に何1つ答えることはできない。


だけど、離れるのが嫌でただ抱きしめる力を強くした。




これだけは分かる。


私の中の何かが変化している。



その何かは今の私にはよく分からない。


これは一体……?




「何なのか、教えてよ」


「え?」


「よく分かんない、自分が」



いつからだろう?

いつからか私は私に置いて行かれてしまっていた。