入谷くんと目を合わせていると、なぜかパッと逸らされた。



「やばいって」



そう呟いて空いてる方の手で自分の顔を覆う。

不思議に思っていると手を離して、再び私と目が合う。



その頬はほんのり赤く染まっている。



「まじでかわいすぎてやばいから。
伊都、抱きしめていい?」



入谷くんに呼び捨てされるのは嫌いだ。

何でかドキドキと変に脈を打ち始めて苦しくなるから。


それでも呼ばれる響きはとても好きなんだ。




私は何も言わずに体が動くままに、自分から入谷くんに抱きついてしまった。


それは引き寄せられるように自然に。



入谷くんの前だと、自分をコントロールすることができなかった。