ひろちゃんが肩をビクッと上げて、下唇を噛みしめる。


「最低!
いいわよ、他に遊び相手なんていくらでもいるんだからっ!」


ひろちゃんは京ちゃんをカバンで思いっきり叩いてから、走って行ってしまった。

だけど、京ちゃんはひろちゃんに目もくれず、入谷くんをじっと見ている。



「お前も帰れよ」


「帰ろうとしてたところに出てきたんだろ」


「伊都に関わるなよ」


「さっきまで別の女子といたやつに言われたくないんだけど」



2人の間を流れる空気がすごくピリピリしていて、なんだか怖い。

ここは私が仲裁に……!



「入谷くん、今日はありがとう!
本当に助かったよ。またね」


「こちらこそ」


「京ちゃんも帰りましょう!」



入谷くんに手を振ってから、京ちゃんの背中を押して家に入れる。

その間も京ちゃんは入谷くんを睨んでいるみたいで、こんなに怒った京ちゃんは滅多に見ないからどうしたらいいか分からない。