「こんなに食べれる?」
「もちろん。伊都ちゃんが作ってくれたのこんなにもらえて幸せ」
本当に幸せそうな表情をするから、私もつられちゃうんだ。
入谷くんは本当に人を巻き込む力があると思う。
紙袋にタッパを入れて渡す。
「今日はありがとう」
「こちらこそ。また来るね」
「遠慮します」
「ちぇー。じゃあね」
一緒に外を出て、見送る。
入谷くんが手を振って私もそれに返した時、隣の家のドアが開く音が聞こえた。
黒い家のほう。
入谷くんがそちらを見る。
もちろん私も。
「すっごい楽しかったぁ。また遊んでね」
「あぁ」
「送ってくれないの?」
「さっさと帰れ」
京ちゃんの声は顔を見なくても分かる。
だけど、もう1人の高い声。
こちらも知ってる。



