私を見上げる入谷くんがなんだかかわいく感じられる。
少し笑ってから、
「仕方ないなぁ」
なんて言って手を貸してあげる。
しっかりと握られた手。
「引っ張るよ?」
「ちょっと待って!
立てないって!」
めずらしく入谷くんが焦っている。
それがおもしろくて、いつもと立場が逆転していて、私は遠慮なしに引っ張る。
だけど、私の力じゃ到底ひっぱりあげることなんてできなくてそのまま入谷くんへと倒れ込む。
「あっ、やばい。今ビリビリきてる……」
私が入谷くんの上に乗ってしまい、傍から見れば襲っているように見えるかもしれない。
ここはいつもならからかわれるところ。
それでも足の痺れている入谷くんは、ツッコむ余裕がないらしい。
「ほれ」
「うわっ!ダメだって!」



