だから、俺にしとけよ。




何を言ってるんだバカ野郎!



「パスワード!」



怒ったように言うと、入谷くんは笑いながら謝る。

絶対謝る気ないじゃん。




「2月14日だよ」


「バレンタインなんだ」


「誕生日プレゼントとチョコは別にしてね」


「あげないから」



本当か確かめるために0214と入れるとスマホが開いた。


まぁ、開けて良かった。




「伊都ちゃんの誕生日は?」


「3月3日」


「ひな祭りじゃん。女の子の祭りじゃん。
俺らイベントと被ってんだ」


何が楽しいのか入谷くんが笑うから、私もつられて笑ってしまう。

少し笑っていると、入谷くんが私に手を伸ばしてきてサイドの髪をそっと耳にかける。