だから、俺にしとけよ。




全部私1人じゃ作れるわけないし。


自分から立候補したくせに、私に任せようなんてひどい人だ、全く。




「そんなの伊都ちゃんがいるから立候補したに決まってんじゃん」


「え?」


「少しでも関わりを持っておかないとね」



私を見つめる入谷くんが手を伸ばしてくる。

その手が私の肩下の黒髪に触れる。



「伊都ちゃん……」


「ゴホンッ」


咳ばらいが聞こえて、入谷くんの手を振り払う。

カウンターに座ってる図書委員だ。


チラッと見ると、あちらも私たちの方を見ていて目が合うとすぐに逸らして読みかけの本に視線を落とした。



は、恥ずかしい……。



「チッ。邪魔が入った」


「作り方は入谷くんみたいな人でも簡単に作れるようにしたいから……」