入谷くんとは以前話してから、もう避けることはなくなった。
逆に意識してるみたいだったから。
普通が１番。
誰に対しても同じような態度で接する。
「帰らないけど。
じゃあね」
手を振って教室を出るけど、なぜか後ろからついてくる。
図書室だから、昇降口とは逆なのに。
「何？」
「散歩」
我慢できなくなり振り返って聞くと、満面の笑みの入谷くん。
何でそんなに笑顔なのっ！
私は入谷くんに笑顔を吸い取られるように、表情がなくなっていく。
入谷くんを意識に入れないようにして、図書室に入る。
「図書室来たの初めてだわ」
