【紫・長編】「年代記三部作/ナグサ」(スト漫のシナリオ)

換金した物をお持ち致しましたと。
「絹十反に酒十合を牛肉三頭に米十合に交換し以下金貨三袋銀貨一袋に換金してまいりました」
どよめきがあった。
「これシンラや。他に報告は無いのか」王が扇子をとじながら言った。見るとニヤリとした顔で知らぬとでも思うたか。という顔付きである。何のことでしょうという顔でシンラが質問をする前に「聞いてるわ。駆け落ちの件じゃ」と王は言った。再びどよめきがあった。シンラカナヴァが結婚か。王宮外交も後継ぎに恵まれるか。ではセツナカナヴァはどうなる。などなど。「何でも時読みの姫らしいな。そなた次第では戦になりそうな雲雪だのう」何故かそこまで話が発展している。慌てたシンラは「何を根拠に、おたわむれを」汗ばむ。その時、王の横後ろから草原の使者がかけおちの旨記した書状をシンラの顔面に振りかざした。
ナグサはびくりと震えた。草原の使者に見覚えがあったからだ。「申し訳ございません。そのとおりにございます」シンラはナグサの肩を抱いて王にナグサの顔を見せた。「シンラよ。そちが娶ったのは男姫か」驚きの声がおこった。「めっそうもございません。正真正銘の姫にございます」シンラが素早く訂正した。ナグサも同じく頭を下げた。「それは良きことかな。近々宴を開くが良い」王は蔓延の笑みをたたえた。「下がっても良いぞ」王からは以上ですんだ。ナグサは侍女達に入浴場に連れて行かれた。日中身体を洗われ垢を落とされ、さっぱりした身体にセロリアンブルーのハイウェストのワンピースを着せられた。長い髪も結い上げられた。
パンツルックで無い為足元がすぅすぅして嫌な感じがした。
同様に垢を落とされたシンラが迎えに来るまで、ナグサはしばらく一人にされた。「やあ良い目にあったね」お互いにと、ボトルを開けて薄いアルコールを注いだ。手にしたナグサは「カモフラージュするんだな」と念をおした。「部下の命乞いです。どうぞナグサお許しを」そうだ。草原にはシンラの部下達が置き去りにされてる。ナグサ一人の貞操を守る為に。だからといって就業候補なのは変わらない。そこのとこは充分念をおした。
シンラもしたり顔で、ナグサじゃなきゃ頼めない仕事があるんです。と頷いた。
とにかく意気投合した二人だった。
宴を開く事。言葉を知らぬナグサがシンラとつきっきりになっても怪しむ人間がいない様にする為に必要不可欠であった。それと家族にナグサを紹介したいのだがの問いには、明日以降に